ミュージカル『レ・ミゼラブル』を見てきました。
この物語は私が小学校5年生の時に「ああ無情」というタイトルで読んだ本です。その中の司教の「ゆるす」と「信じる」ということが理解できなかった私は、何故かそこが気になって愛読書となりました。
主人公ジャン・バルジャン。彼の波瀾万丈の人生は、小説を超えて、生きる、許す、愛する、手放すを実感する物語だと思います。ですが小学生や中学生の頃の私には理解できなかった。それが大人になっても何度か読む時に感じ方が少しずつ変化してきたのです。
そして今回ミュージカルを見ながら、何故私がこれに惹かれているのかが閃きました。
苦・集・滅・道の視点から、ジャン・バルジャンの生き方を見ていたのだと。
それでブログを書きたくなりました。ぜひ最後までお読みくださいね。
苦- 人生は苦しみに満ちている
貧困という根本的な苦
ジャン・バルジャンの物語は、まさに「苦」から始まります。失業し、姉の子どもたちを養うために一片のパンを盗んだことで19年間もの監獄生活を強いられた彼の人生は、仏教が説く「苦」です。
ブッダは人生の苦しみを「生老病死」として表現しましたが、ジャン・バルジャンが直面した苦しみはより具体的で現実的でした。飢餓、貧困、社会からの疎外、そして何より「元囚人」といわれる永続的な差別。これらは現代社会にも通じる苦しみです。
内面の苦しみ
監獄から出所した後も、彼を苦しめたのは長年の獄中生活で心が荒れ、社会への憎悪と絶望に支配されていた内面の苦しみこそが、彼の真の苦だったのです。
集- 苦しみの原因
執着と憎悪
仏教において、苦しみの根本原因は「執着」にあるとされます。ジャン・バルジャンの場合、それは社会への憎悪と復讐心でした。不当な扱いを受けたという被害者意識と、世界への怒りが彼を精神的に縛り付けていたのです。
社会への恨み執着
また、彼が苦しんだのは、当時の社会システム自体にも原因がありました。一度罪を犯した者を永続的に排除し続ける社会構造、富める者と貧しい者の格差、そして硬直した階級制度。これらは集合的な「執着」として機能し、個人の苦しみを増やしていました。
滅- 苦しみの消滅は可能である
ミリエル司教との出会い
ジャン・バルジャンの転機となったのは、ミリエル司教との出会いでした。銀の燭台を盗んだにも関わらず、司教は彼を警察から守り、さらに銀の皿まで与えて「正直な人間になるように」と諭しました。
この瞬間こそが、仏教的な意味での「悟り」の体験だったといえるでしょう。司教の無条件の慈悲によって、ジャン・バルジャンは自身の憎悪と執着から解放される可能性を感じたと思います。苦しみの消滅が実現可能であることを、身をもって体験したのだから。
内なる変化
司教の行為は、ジャン・バルジャンに根本的な価値観を変えました。復讐と憎悪に支配された心から、慈悲と利他の心への変化。滅の状態に入れたのです!
道- 苦しみを消滅させる道
慈悲の実践
ジャン・バルジャンが歩んだのは、まさに慈悲の道でした。マドレーヌ市長として貧しい人々を助け、ファンティーヌを救い、コゼットを引き取り、最終的にはジャベール警部さえも救おうとする彼の行動は、苦しみをなくして悟りを開くものです。
自己犠牲と利他
特に注目すべきは、彼が自分の身を危険にさらしてまで他者を救い続けたことです。冤罪を晴らすために自首する場面や、マリウスを救うための場面など、彼の行動は常に利他的でした。
執着からの解放
興味深いのは、ジャン・バルジャンが最終的にコゼットからも身を引く決断をしたことです。愛する養女への執着さえも手放し、彼女の幸福を優先する姿勢は、苦集滅道「感謝の4つの心」最後の「役に立ったことを忘れる」の行為です。
ミリエル司教の慈悲がジャン・バルジャンを変えたように、
私も、誰かのためにそんな行動ができたらいいなと思うことを常に持ち続けるということでしょうか。
だからこそのマンダラ思考。その中でも八正道が行動を変えてくれるはずです。
以下はジャン・バルジャンが八正道的な行動をしているのを分析してみました。
正見(正しい見解)
- 自分の過去を受け入れ、真の幸福とは何かを理解する
正思(正しい思考)
- 恨みつらみではなく慈悲の心を持つ
正語(正しい言葉)
- マドレーヌ市長として人々に希望を与える言葉を語る
正業(正しい行い)
- コゼットを引き取り、父親として愛情を注ぐ
- 困っている人々を助ける
- 自らの利益よりも他者の幸福を優先する
正命(正しい生活)
- 工場経営を通じて多くの人に雇用を提供
- 清廉な市長として町の発展に尽力
正精進(正しい努力)
- 常に善行を心がけ、過去の自分を乗り越えようとする意志
正念(正しい気づき)
- 自分の行動が他者に与える影響を常に意識
正定(正しい集中)
- 真の愛と慈悲に心を集中させる
できているなら素晴らしい! できていなくても意識をしておくだけでも違うのですよ!と寧雄先生に言われたことを思い出します。
苦集滅道を八正道で。
生き方としての永遠のテーマですが、大きな気持ちで取り組みながら毎日を暮らしていきたいと思います。
マンダラ思考に関われることがありがたい!
そんな気持ちです。
長文を最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

それにしても「レ・ミゼラブル」のミュージカルは素晴らしかった🎶
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