松村寧雄先生。

私にとって、ただの「先生」ではありません。

大好きな“おじさん”であり、父です。

人生の恩師であり、その出会いが、私の人生に新たな道をひらきました。

松村先生は、私をインドへと導いてくださいました。

それは、仏陀が初めて法を説いた聖地や、修行を重ねた仏跡をめぐる巡礼の旅でした。

その聖なる場所で、先生から直接講義を受けた経験は、いまもなお、私の人生におけるかけがえのない宝物となっています。

あの旅の折に手に入れた曼荼羅図は、今も「クローバ経営研究所」に飾られています。

「仏陀の智慧を経営に活かす」——MY法とマンダラ手帳

松村寧雄先生は、仏陀の智慧を“宗教的教義”としてではなく、人生と経営に活かすための実践的な智慧として体系化されました。

その成果が、「9マスチャート(MY法)」であり、「マンダラ手帳」です。

2006年12月。

私は『仏陀の智慧で夢はかならず叶う』の出版記念講演で、松村先生と初めて出会いました。

当時の私は、新規出店の失敗、新事業の赤字、膨らむ借入金、家庭でも悩みが重なり、夜も眠れないような苦しい日々を過ごしていました。

そんな状況のなかで出会った松村先生は、満面の笑顔とあふれるエネルギーで私を包み込んでくださいました。

「生まれて初めて、心の底から尊敬できる人に出会えた」

そう身体が震えるような感動を、今でも覚えています。

その翌年から、私は毎年「マンダラ経営シリーズセミナー」や「経営合宿」に参加し、先生の教えを深く学び続けました。

その学びこそが、今の私の生き方と事業の土台となっています。

松村寧雄先生の元で「人生100年計画」「経営計画書」を描いた11年

先生と出会ったのは、私が40歳のとき。

そこから11年間、毎月のように開催されるセミナーで、直接ご指導を受けました。

「人生100年計画」「経営計画書」など、自分自身の人生設計と経営理念を深めるなかで、先生の言葉に何度も励まされ、勇気づけられました。

2017年、東京・虎ノ門のお寺で、先生のご遺体と対面したときのこと——

あまりに多くの思い出が溢れ、心も思考も追いつかず、ただただ静かに時が流れていました。

お堂に響いていたBEATLESの甘く切ないメロディーだけが、今も記憶に残っています。

「空」の教えと利他の実践

先生は、仏陀の「空(くう)」の教えを、こう伝えてくださいました。

「この世に“可愛い嫁”や“優しい母”が存在するのではない。

それは、あなたの“かかわり方”によって、そう見えているにすぎないのです」

すべては縁によって起こり、実体はない。

だからこそ、「自分のかかわり方」こそが世界をつくる鍵なのだと。

また、ブッダが2500年前に発見した真理として、私たちが生きるこの世には以下のような苦しみがあると説かれました。

  • 生まれる苦しみ(生)
  • 老いていく苦しみ(老)
  • 病の苦しみ(病)
  • 死の苦しみ(死)
  • 会いたい人に会えない苦しみ
  • 憎い人と出会ってしまう苦しみ
  • 欲しいものが手に入らない苦しみ
  • 欲望が制御できない苦しみ

これら「四苦八苦」からの解放をめざして、ブッダが示した実践の道こそが「八正道」なのです。

先生は、その実践の核をこう言い換えられていました。

「自分を勘定に入れない」

「誰かのために命をつかう」

つまり—「利他の心」こそが仏陀の智慧の実践であると。

苦しみからの解放へ

人の苦しみの9割以上は、「私」という思考によって生まれます。

だからこそ、「私」のことをいったん手放し、利他の実践に生きることで、苦しみは自然と消えていく。

この智慧を、松村先生はご自身の生き方で体現されていました。

MY法は、そうした利他の実践を具体的に形にするための道具であり、現代におけるブッダの智慧の設計図でもあるのです。

最後に——感謝と誓い

「仏教 − 宗教 = 仏陀の智慧」

これは、先生がよく語られていた言葉です。

私は、松村寧雄先生から受けた智慧と愛に、心の底から感謝しています。

そして、その教えを伝えていくことこそが、私にできる恩返しであり、使命だと感じています。

松村先生の教えは、いや松村寧雄は、私の血となり、肉となり、日々の選択や行動の軸に、今も脈々と生きています。

そしてこれからも、仏陀の智慧と、松村寧雄と、ともに歩んでいきます。

2010年にインドで購入した曼荼羅図

投稿者プロフィール

本領亮一
1967年千葉県松戸市生まれ。青山学院大学卒業後、大和証券系VC、ワタミ、CCCを経て31歳で株式会社ジップを創業。22年間ブックオフ加盟店4店舗を運営し、2020年事業譲渡後、株式会社本領として新たなスタートを切る。
現在はマンダラチャート認定コーチとして、仏陀の智慧を経営に活かす活動や、合氣道の指導、経営戦略・人生論の研究を続けている。noteやSNSで日々の学びと気づきを発信している。