―体験と決断が「人間」をつくる

2025年7月12日、タモリさんと山中伸弥さんがMCを務めるNHKの新番組『知的探求フロンティア』が放送されました。第1回のテーマは、「AIは人間を超えるか?」という問い。前回シリーズの『人体』から、私の好きな番組です。

最先端の技術を紹介しながらも、番組は「人間とは何か?」という根源的なテーマに深く迫るものでした。

私はこの番組を観て、改めて「人間らしさとは何か」「私たちはAIとどう向き合っていくべきか」を考えました。

仏陀の智慧をふまえて、私の内省と提案を綴ります。

AIに「体験」はない。それでも“知性”と呼べるのか?

番組では、AIと人間の決定的な違いとして「体験の有無」が挙げられていました。

  • 人間の知性は、痛み・喜び・悲しみといった身体を通じた感情体験の積み重ねから生まれる
  • 一方、AIは肉体を持たず、感情も経験もなく、データ処理の集合体として動いている

それにもかかわらず、AIは創作、判断、言語処理といった分野で、すでに人間を凌駕しつつあります。

では、「体験なき知性」は本当に“知性”と呼べるのか?

この問いは、「知性とはなにか」「意識とはなにか」、さらには「魂のある存在とはなにか」という、人間存在の根底を揺さぶるものです。

人間にしかできないこと―「決断」と「対話」

番組を通じて、私が深く感じたのは、「人間にしかできないこと」がたしかに存在するということでした。

それは、たとえば──

  • 決断すること
  • 行動に移すこと
  • 感情を携えて、他者と真に向き合うこと

人間の「決断」には、合理性だけでは測れない覚悟や勇気が含まれます。そして私たちの「対話」は、情報のやり取り以上のものです。

声の響き、目の動き、身体の動き、沈黙、……それらすべてが、肉体と感情をもったコミュニケーションです。そうした「体温のある対話」こそが、私たち人間の根源的な力ではないでしょうか。

対立ではなく、共創へ─AIとのパートナーシップ

AIの進化には「仕事を奪われるのでは」「人間が不要になるのでは」といった不安もつきまといます。

けれど私は、そこに恐れよりも可能性を見ています。

重要なのは、AIを対立する存在ではなく“協働するパートナー”として捉えることです。

  • 任せられることはAIに任せる
  • 人間にしかできないことに集中する

たとえば、人間関係の深さ、共感、価値判断、迷いと対話を含んだ意思決定──これらは今後さらに人間固有の領域として際立っていくでしょう。

「人間とは何か」を問い直す時代に

「AIは人間を超えるか?」という問いは、単なるテクノロジーの話ではありません。

それは同時に、「私たちはどのように生きるのか?」「人間とは何か?」という哲学的な問いでもあります。

そしてこの答えは、誰かに与えられるものではなく、一人ひとりが日々の暮らしの中で見出していくものだと、私は信じています。

  • 体験する
  • 決断する
  • 誰かと語り合う
  • 苦悩する
  • 逡巡する
  • 自分の弱さと対峙する

その過程こそが、私たちを人間たらしめているのです。

マンダラチャートは、自分にとっての「大切なもの」に向き合い、問い、言語化していくツールです。

だからこそ、このAI時代を生きる私たちにとっても大きな力になります。

あなたにとって「人間らしさ」とは何ですか?

そして「AIとどう生きるか」を、自分自身の価値観で描くことができるでしょうか?

答えは、あなたの内側からしか生まれてきません。

一緒に、その旅を続けていきましょう。

投稿者プロフィール

本領亮一
1967年千葉県松戸市生まれ。青山学院大学卒業後、大和証券系VC、ワタミ、CCCを経て31歳で株式会社ジップを創業。22年間ブックオフ加盟店4店舗を運営し、2020年事業譲渡後、株式会社本領として新たなスタートを切る。
現在はマンダラチャート認定コーチとして、仏陀の智慧を経営に活かす活動や、合氣道の指導、経営戦略・人生論の研究を続けている。noteやSNSで日々の学びと気づきを発信している。