「情けは人の為ならず」という言葉は、「人のためにならないから、情けをかけてはいけない」と誤解されることがあります。しかし、本来の意味は 「巡り巡って自分のためになる」 というものです。
人に情けをかければ、やがて自分に返ってきます。ただし、ここに大切な智慧があります。もし「自分のために」という思いが透けて見えてしまえば、その情けは返ってきません。
つまり大切なのは、相手のことを純粋に思い、本気で寄り添う情け です。仏陀の教えにある「八正道」の「正思」や「四無量心」でも、相手を楽にし、苦しみを取り除き、共に喜び、そして行為そのものに執着しない心の在り方が説かれています。
「唯識」の智慧に照らせば、見返りを求めない利他の行為こそが、自分の心を豊かにし、幸福な環境を創り出すことにつながるのです。
会社のビジョンと「社員一人ひとりの人生」
会社のビジョンは、存在意義や目指す方向性を示すものであり、経営において欠かせません。しかし、どんなに立派な理念でも、社員が人生を賭けられるとは限りません。なぜなら、社員には生活や家族があり、それを犠牲にすることはできないからです。
だからこそ本当に重要なのは、「社員一人ひとりの人生や家族の幸せが豊かになっていくビジョンであるかどうか」 です。単なる報酬の増加だけではありません。
仏陀の智慧にある「目的と目標」の考え方では、目標は他者から与えられますが、目的は自分自身が意味を見出すものです。社員がビジョンを実現する中で、「その仕事が自分や家族の幸せに繋がっている」と実感できるかどうか が分かれ道になります。
「何のために学ぶのか」──内なる興味との繋がり
お子さんから「何のために勉強するの?」と聞かれたら、どう答えますか?
「良い学校に進学して、有名企業に入るため」と答えても、納得感は薄いでしょう。これは企業が「ビジョンに共感すれば収入が増える」と言うのと本質的に同じです。
子どもが本当に学びに向かうのは、「知りたいこと、やりたいこと、行ってみたい場所」と勉強が繋がっていると実感した時 です。
マンダラ手帳が提供する「人生計画」は、仏陀の智慧を土台に、人生とビジネスの「目的」を問い直すものです。学びや仕事が自分の内なる興味や人生の方向と繋がった時、主体性が芽生え、独創的な智慧が生まれていきます。
真の納得を生む「相互依存の原則」
人は一人ひとり違います。
何を幸せと感じるか、どんな人生を望むか、何を大切にするかも異なります。それを理解せず「給料が増えれば幸せだ」と一律に考えるのは、ズレた発想です。
「空」の智慧が示すように、すべての事物は固定的な実体を持たず、関わり方によって姿を変えます。組織のビジョンも同じで、どう関わるかによって意味が変わります。
そのズレを解消するのが 「相互依存の原則」 です。顧客満足も社員満足も子どもの納得も、根っこは同じ。仏陀の智慧にある「相手の身になって考える」心こそが、全体と部分の関係性を見抜き、調和を生む鍵なのです。
マンダラ思考は、この「全体と部分と関係性」を可視化するツールです。私たちが固定観念に縛られず、変化に柔軟に対応し、自らの可能性を最大限に発揮するための智慧を提供します。
私たちは一人ひとりの心が創り出す世界の中で生きています。
マンダラの智慧を実践することで、人生もビジネスもより豊かに変わっていきます。
ぜひ日々の生活にマンダラを取り入れ、主体的に輝かしい未来を創造していきましょう。
投稿者プロフィール

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1967年千葉県松戸市生まれ。青山学院大学卒業後、大和証券系VC、ワタミ、CCCを経て31歳で株式会社ジップを創業。22年間ブックオフ加盟店4店舗を運営し、2020年事業譲渡後、株式会社本領として新たなスタートを切る。
現在はマンダラチャート認定コーチとして、仏陀の智慧を経営に活かす活動や、合氣道の指導、経営戦略・人生論の研究を続けている。noteやSNSで日々の学びと気づきを発信している。
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